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東京高等裁判所 平成10年(行ケ)330号 判決

アメリカ合衆国デラウェア 19801、ウィルミントン、デラウェア アベニュー 300

参加人

ジョーンズ インベストメント

カンパニー、インコーポレイテッド

代表者

アイラ エム.ダンスキー

訴訟代理人弁理士

山本秀策

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官

伊佐山建志

指定代理人

山口烈

廣田米男

アメリカ合衆国ペンシルバニア 19007

ブリストル、リッテンハウス サークル 250

原告(脱退)

ジョーンズ アパレル グループ、インコーポレイテッド

代表者

ハーバード ジェイ.グッド

フレンド

主文

特許庁が平成3年審判第20237号事件について平成9年8月19日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第1  当事者の求めた裁判

1  参加人

主文と同旨

2  被告

参加人の請求を棄却する。

訴訟費用は参加人の負担とする。

第2  請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告は、平成元年7月21日、「JONES NEW YORK」の欧文字を横書きしてなり、指定商品を商品の区分(平成3年9月25日政令第299号による改正前の商標法施行令による商品の区分。以下同じ)第17類「アメリカ製の被服(運動用特殊被服を除く。)、アメリカ製の布製身回品(他の類に属するものを除く。)、アメリカ製の寝具類(寝台を除く。)」(平成6年6月20日付手続補正前の指定商品は「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」)とする商標(以下「本願商標」という。)について商標登録出願をしたが、平成3年7月19日に拒絶査定を受けたので、同年10月17日に拒絶査定不服の審判を請求し、平成3年審判第20237号事件として審理された結果、平成9年8月19日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(出訴期間を90日付加)を受け、同年9月18日にその謄本の送達を受けた。

2  承継訴訟参加と訴訟脱退

(1)  参加人は、平成10年6月30日、原告から、本願商標についての商標登録を受ける権利の譲渡を受け、同年7月16日、上記権利の承継を商標登録出願人名義変更届をもって特許庁長官に届け出た。そして、参加人は、本件訴訟において承継訴訟参加の申出をした。

(2)  原告は、平成10年10月27日の第5回口頭弁論期日において、本件訴訟から脱退し、被告及び参加人は、これを承諾した。

3  審決の理由の要点

(1)  本願商標の構成、指定商品等は、前1の項記載のとおりである。

(2)  引用商標

商標登録第1115819号商標(以下「引用商標」という。)は、「JONES」の欧文字と「ジョーンズ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和42年11月2日に商標登録出願され、昭和50年4月14日に設定登録され、その後、昭和60年4月26日と平成7年6月29日の2回にわたり商標権の存続期間更新の登録がされている。

(3)  判断

本願商標は、「JONES NEW YORK」の欧文字よりなるところ、これが全体として特定の語意を有する語と認識され、常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情を見出すことができない。

そして、その構成中の「NEW YORK」の文字部分は、アメリカのニューヨーク州にある同国最大の商工業・港湾都市として知られている「New York」(1988年9月10日株式会社三省堂発行「コンサイス外国地名事典」改訂版第3刷)を大文字で表したものであって、看者に指定商品の産地若しくは販売地を表示する語として理解、認識されるにすぎないものであり、自他商品識別標識としての要部をなすのは「JONES」の文字部分にあるから、該文字部分に相応して単に「ジョーンズ」の称呼を生ずるものである。

他方、引用商標は、その構成が前記(2)のとおりであるから、「ジョーンズ」の称呼を生ずることは明らかである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、外観及び観念の異同について論及するまでもなく、「ジョーンズ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されるから、結局、本願商標は、商標法4条1項11号の規定に該当し、登録することができない。

請求人(原告)は、本願商標は我が国の被服・装身具の業界においてよく知られた商標である旨主張するが、何らの証拠も提出されていないから、上記主張は採用しえない。

4  審決を取り消すべき事由

審決の理由の要点中(1)及び(2)は認め、(3)は争う。

(1)  審決は、取引の実情を一切考慮することなく、しかも、単に称呼上の類否のみをもって原告商標と引用商標が類似すると判断しているが、著しく合理性を欠くものであって、違法があるから、取り消されるべきである。

(2)  審決は、本願商標は、「JONES NEW YORK」の欧文字よりなるところ、これが全体として特定の語意を有する語と認識され、常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情を見出すことができないと説示するが、誤っている。

(イ) すなわち、本願商標は、「JONES NEW YORK」の構成よりなるものであり、前半の「JONES」の文字と後半の「NEW YORK」の文字とは、外観上まとまりよく一体的に構成され、また、これより生ずる「ジョーンズニューヨーク」の称呼も格別冗長というべきものではなく、常に一体のものとして「ジョーンズニューヨーク」との称呼のみが生じるのであり、被告が主張するように「JONES」と「NEW YORK」の2語に分かれ、「JONES」の文字部分のみが独立して認識されるものではない。

(ロ) ジョーンズアパレルグループは、原告を中心として、カナダ、メキシコ、香港に所在する関連会社をあわせた会社群からなる国際企業であり、日本を除く世界の多数の国において本願商標について設定登録を受けており、また、本願商標を引き続き30年以上使用して紳士用スーツ、婦人用スーツ、靴等を販売し、かつ、アメリカにおいて、通信販売カタログを発行したり、新聞に広告を掲載するなどして広告宣伝を行っており、1991年(平成3年)から1997年(平成9年)までの間の本願商標に係る商品の売上高が約18億7000万ドルとなっている。以上によれば、本願商標は、アメリカにおいて、周知著名であり、かつ、世界的に有名なブランドとなっているものである。

なお、ジョーンズアパレルグループは、本願商標を、常に「JONES NEW YORK」と一連不可分で使用しており、「JONES」のみの使用をしたことはない。

ジョーンズアパレルグループは、1994年(平成6年)から日本に向けて本願商標を使用した商品の輸出を開始し、輸出額は日本円に換算して年間1000万円内外と比較的少ないものの、特に百貨店で売られていることから、日本におけるイメージも高級品としてのイメージが高い。一方、日本人旅行者は、ニューヨーク、ハワイ、香港へと買物ツアーに赴いて、本願商標を使用した商品を大量に購入し日本に持ち帰ることにより、本願商標が日本において広く認識されている。本願商標は、日本において、遅くとも本件審決日である平成9年(1997年)8月19日には周知著名になっていたものである。

以上のとおり、本願商原は、「JONES NEW YORK」の全体が一体として周知性を獲得しているので、「JONES NEW YORK」が一体として観念され、「ジョーンズニューヨーク」と一連不可分に称呼されるのであって、「JONES」と「NEW YORK」とを分離して考慮すべきものではない。

(ハ) 本願商標の構成中の「NEW YORK」の文字部分は、アメリカのニューヨーク州にある同国最大の商工業・港湾都市として知られている「New York」を大文字で表したものであるところ、ニューヨークは、世界の文化の発信都市で、エキサイティングな世界をリードする大都市でもあるため、「JONES」の後半に「NEW YORK」が付くことにより「JONES」を修飾し、エキサイティングな魅力的な感じを醸し出すことになって、「JONES」』と「NEW YORK」を不即不離の関係にしている。

また、「JONES」は、英米によくある男子の名であることから、「JONES NEW YORK」は「ニューヨークに住むジョーンズさん」、「ニューヨークのジョーンズさん」といった観念を生ずるものであり、この点からも「ジョーンズニューヨーク」と一体不可分に称呼されるのである。

第3  請求の原因に対する被告の認否及び主張

1  請求の原因1ないし3は認め、4は争う。

2  被告の主張

(1)  審決は、本願商標のうち「NEW YORK」の文字部分が地名であるという理由で形式的に「JONES」を分離抽出したものではなく、「NEW YORK」という地名における衣料品分野の取引の実情及び需要者の認識に立って、「JONES」の文字部分につき要部認定して判断したものであるから、その認定判断に違法はない。

(2)  原告は、本願商標は「JONES NEW YORK」の全体が要部であって、「ジョーンズニューヨーク」とのみ称呼される旨主張するが、〈1〉本願商標は、各構成文字の意味からみて、これら各文字部分を常に一体のものとして把握しなければならないような特段の事情はなく、むしろ、これよりは「JONES」と「NEW YORK」の2語により構成されてなるものと容易に認識しうるものであること、〈2〉構成中の「NEW YORK」の欧文字部分は、アメリカのニューヨーク州にある同国最大の商工業・港湾都市を表したものと容易に理解されること、〈3〉「NEW YORK」、「ニューョーク」の文字は、被服等のファッション製品の産地若しくは販売地を表すものとして容易に理解され、かつ、同じ意味合いをもって、当業者間において普通に使用されていること、〈4〉本願商標の指定商品は、「アメリカ製の被服(運動用特殊被服を除く。)、アメリ力製の布製身回品(他の類に属するものを除く。)、アメリカ製の寝具類(寝台を除く。)」とするものであって、アメリカ製の商品に特定されているから、「NEW YORK」は、その産地国と密接に関連しているので、容易に当該商品の産地・販売地表示と認識しうること、〈5〉簡易迅速を尊ぶ商取引においては、特に印象に残る部分に着目し、該部分をもって簡便に取引に資する場合が少なくないこと、以上の理由から、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成のうち「NEW YORK」の部分を当該商品の産地・販売地等を表示したものと理解するに止まって、それ自体を自他商品の識別標識とは認識せず、一方、構成中の見やすく、印象に残りやすい語頭部の「JONES」の文字部分に注意を惹かれるものであって、原告の上記主張は理由がない。

(3)  原告は、本願商標は「JONES」の後半に「NEW YORK」が付くことにより「JONES」を修飾し、エキサイティングな魅力的な感じを醸し出すことになって、「JONES」と「NEW YORK」を不即不離の関係にしている旨主張するが、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中の「NEW YORK」の文字部分は当該商品の産地・販売地を表示したものと容易に理解するといえることは前記のとおりであり、また、「JONES」の文字と常に不可分一体のものとして把握されるものでもない。

(4)  原告は、「JONES」は、英米によくある男子の名であることから、「JONES NEW YORK」は、「ニューヨークに住むジョーンズさん」、「ニューヨークのジョーンズさん」のような観念が生ずると主張するが、本願商標は、全体として原告の主張するような特定の観念をもって親しまれているとは認められないものであって、単に「JONES」と「NEW YORK」を羅列したものと認識されるものであって、本願商標から特定の観念は生じないのである。

第4  証拠

証拠関係は、本件記録中の書証目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

第1  請求の原因1(特許庁における手続の経緯)、2(承継訴訟参加と訴訟脱退)、3(審決の理由の要点)は当事者間に争いがない。

第2  審決を取り消すべき事由について判断する。

1  本願商標が、「JONES NEW YORK」の欧文字を横書きしてなり、指定商品を商品の区分第17類「アメリカ製の被服(運動用特殊被服を除く。)、アメリカ製の布製身回品(他の類に属するものを除く。)、アメリカ製の寝具類(寝台を除く。)」(平成6年6月20日付手続補正前の指定商品は「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」)とする商標であること、引用商標が、「JONES」の欧文字と「ジョーンズ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、指定商品を商品の区分第17類「被服、布製身回品、寝具類」として、昭和42年11月2日に登録出願され、昭和50年4月14日に設定登録され、その後、昭和60年4月26日と平成7年6月29日の2回にわたり商標権の存続期間更新の登録がされていることは、当事者間に争いがない。

2  原告は、審決の類否の認定判断の違法を主張するので、この点について検討する。

(1)  本願商標のうち「JONES」がアメリカやイギリスなどにおける男性のありふれた名前であり、「NEW YORK」がアメリカのニューヨーク州にある同国最大の商業・港湾都市である「New York」を大文字で表したものであることは、周知の事実である。

本願商標は、上記のとおりの男性のありふれた名前である「JONES」と、アメリカに所在する同国最大の商業・港湾都市である「NEW YORK」とを結合させた商標であって、構成する文字がまとまりよく一体的に構成され、文字の大きさや形態に差異がなく、その称呼が全体として殊更冗長であるものでもない上、通常の用語例に従えば、「JONES NEW YORK」とは、「ニューヨークのジョーンズ」、「ニューヨークに住むジョーンズ」などといった意味を有するものであることからすると、特段の事情がない限り、一連に称呼され、また、一体として観念されるのが通常であると認められる。

(2)  そこで、更に、本願商標の指定商品の需要者を基準として、取引の実情のもとにおいて、本願商標がどのように称呼され、どのように観念されているかについて検討するに、証拠(各項目ごとに括弧内に摘示する。)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(イ) ジョーンズアパレルグループは、脱退原告が中心となって、その傘下にある参加人その他メキシコ、カナダ、香港などの多数の関連会社とによって形成され、衣料品等の製造販売業を営んでいる企業集団である。(甲第62号証、甲第63号証、弁論の全趣旨)

(ロ) ジョーンズアパレルグループは、1970年(昭和45年)に、参加人を権利者として、アメリカにおいて本願商標の商標登録出願をして1972年(昭和47年)の設定登録を受けたのを皮切りに、その後、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパの各国において、原告あるいは参加人を権利者として、本願商標の商標登録出願をしてその設定登録を受け、アジアにおいては、1993年(平成5年)に韓国において本願商標の設定登録を受けており、本件審判がされた平成9年(1997年)8月19日当時においては、世界35か国において本願商標の設定登録を受けていた。そして、ジョーンズアパレルグループは、本願商標を自社ブランドとして紳士用スーツ、婦人用スーツ、靴等の販売の営業活動を続け、アメリカ国内においては通信販売カタログや新聞広告を利用して広告宣伝を続けており、その売上額は、アメリカ国内のみで、1995年(平成7年)度において約4億5397万ドル、1996年度(平成8年)度において約5億5712万ドル、1997年(平成9年)度において6億6975万ドルとなっていた。(甲第23号証ないし甲第48号証、甲第63号証、甲第66号証ないし甲第116号証)

(ハ) ジョーンズアパレルグループは、1994年(平成6年)4月から日本に向けての商品の輸出を開始し、1994年(平成7年)からは東武百貨店を販売先として輸出するようになり、その輸出額は、1996年(平成8年)度において約8万4030ドル、1997年(平成9年)度において約6万2021ドルとなっていた。

(甲第64号証)

(ニ) アメリカにおいては、従前から、アメリカ東海岸、西海岸の大都市の郊外などに、ブランド商品、カジュアル商品、日用雑貨その他の商品を販売する店舗が多数集まったアウトレット・モールと称する巨大なショッピング街が形成され、値段の格安さ、便利さなどが魅力となって急成長し、内外の客を集めていたところ、日本人旅行客の中で、同所を訪れて買い物をしていく者も少なくなかった。ジョーンズアパレルグループは、従前から、上記アウトレット・モールに出店して、本願商標に係る自社ブランドの商品を販売しており、アウトレット・モールを訪れて買い物をする多数の日本人旅行客の中には、ジョーンズアパレルグループの店舗で買い物をする者もおり、日本人旅行客の間において、本願商標が次第にアメリカ製のブランド品の1つとして認識されるようになっていった。平成9年(1997年)7月には、クレジット会社であるVISAジャパンが、上記のアウトレット・モールを紹介するパンフレットを広く配布しているが、その中には、ジョーンズアパレルグループの店舗がブランドショップの1つとして取り上げられていた。また、日本人旅行客が大挙してアメリカにやってきて、アウトレット・モールで買い物をしていくことがアメリカでつとに有名となって、このことが1998年(平成10年)5月5日放送のCNNニュース、同月8日放送のCNBCニュースで大々的に取り上げられていた。(甲第54号証、甲第56号証ないし甲第58号証、甲第61号証)

(3)  上記認定の事実によれば、本願商標は、従前から、アメリカにおいて周知著名な商標となっており、アメリカ国内においては、本願商標を構成する「JONES NEW YORK」の文字が一体のものとして観念されていたところ、現代の国際化社会、情報化社会において、アメリカの買い物情報が直ちに日本国内で広く広告宣伝され、一方、多数の日本人が気軽にアメリカを旅行して買い物をしているという状況において、本願商標を使用した商品がブランド商品として大規模に販売されているというのであるから、遅くとも本件審判がされた平成9年8月19日の当時においては、アメリカ製の衣料品等、とりわけブランド商品に関心を有する日本の需要者の間において広く認識される商標となっていたものと認めるのが相当である。

そうすると、上記認定の需要者を基準とし、取引の実情を考慮した場合、本願商標である「JONES NEW YORK」は、一体のものとして観念され、「ジョーンズニューヨーク」と一連に称呼されてきたものと認められる。

(4)  被告は、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中の「NEW YORK」の文字部分を当該商品の産地・販売地を表示したものと容易に理解する旨主張する。

「NEW YORK」の欧文字部分が、アメリカにある同国最大の商業都市を表すものであることは、前記のとおりであるが、これがアメリカやイギリスなどにおける男性のありふれた名前である「JONES」の文字と結合した場合には、通常、「NEW YORK」の文字が分離されて単に商品の産地・販売地を表示するものと認識されるものではないことは、前記(1)認定のとおりであって、被告の上記主張は、失当であるというほかない。

また、被告は、本願商標は、全体として原告の主張するような特定の観念をもって親しまれているものとは認められないものであって、単に「JONES」と「NEW YORK」を羅列したものと認識されるものであって、本願商標より特定の観念は生じないものである旨主張するが、上記主張は、前記(2)及び(3)の認定判断に照らし、採用することができないことは明らかである。

3  以上のとおり、本願商標である「JONES NEW YORK」は、一体のものとして観念され、「ジョーンズニューヨーク」と一連に称呼されるものであるところ、引用商標は、「JONES」の欧文字と「ジョーンズ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるものであるから、外観、称呼、観念においていずれも相違することは明らかである。

そうすると、本願商標から「ジョーンズ」の称呼が生ずるとし、本願商標と引用商標とは「ジョーンズ」の称呼を共通にする類似の商標であるとして商標法4条1項11号の規定に該当するとした審決の認定判断は、違法であって、取消しを免れない。

第3  よって、参加人の本訴請求は、理由があるから、審決を取り消すこととし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(口頭弁論終結日平成10年12月3日)

(裁判長裁判官 清永利亮 裁判官 春日民雄 裁判官 宍戸充)

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